◆ CHAINS & LEATHER ◆
第2回 「私とHELLOWEEN」(1)
  俺にとってHELLOWEENは特別な思い入れのあるバンドである。HELLOWEENとの出会いは、1987年に遡る。その年はEUROPEの「The Final Countdown」アルバムをきっかけに、俺がハードロックへの扉を開き、さらなる良いバンドを求めていた時期である。その当時、NHK-FMで、西森マリーがDJをしていた「MUSIC CITY 〜ROCK SOUND〜」という番組があった。この番組ではハードロック/へヴィ・メタル系の色々な曲がかかり、アーティストのインタヴューなんかも紹介していた。俺が最初に聴いた時は、丁度年末の特別番組で、その年に話題になったアーティストの曲を一気にオンエアするというものであった。それこそ、LAメタルからスラッシュ、正統派HMと色んな曲が流れたが、その中にHELLOWEENの“Halloween”があった。曲紹介の時に、西森マリーが「13分21秒・・・」と言っていたのを聞いた俺は「長えな」と思ったが、ホラー映画風のオープニングが始まり、曲が疾走する頃には既にそのサウンドに惹きこまれていた。13分21秒。それまで、こんなに長い曲をクラシック音楽以外で聴いたことが無かった。この曲を今聴きなおしてみると、確かにアレンジに詰めの甘い箇所はある。しかし、その時の俺は最初から最後まで、興奮しっぱなしであった。特に後半のツインリードの展開には大興分! ツインリードの初体験である。 この曲を繰り返し繰り返し、聴き、一体HELLOWEENとはどのようなバンドなのだろうと思いを巡らせていたものである。    

  年が明けて、「MUSIC CITY〜」のレギュラー番組で、HELLOWEENの特集があった。メンバーのインタビューを交えてオンエアされた曲は今でも覚えている。“Judas”、“Starlight”、“Twilight Of The Gods”、“A Tale That Wasn't Right”である。聴きながら、「俺が聴きたかったのはこういう曲だ! 俺のバンドを見つけた」と興奮していた。次の日、俺はレコード店で「Keeper Of The Seven Keys part1」のアナログ盤を買ったのであった。アルバムの冒頭“Initiation”に続く、“I'm Alive”で俺はノックダウン! 中間部のソロ〜ツインリードを聴きながら、ギターがこんなにも美しくメロディとハーモニーを奏でるのだという驚きで一杯であった。そして、メロディアスに歌い上げるマイケル・キスクのヴォーカルに感動したものである。レコードのライナーノーツを読むと、彼はまだ、18歳というではないか! また、ライナーノーツを読んで初めて、彼らが西ドイツ出身であることを知った。

  HELLOWEENは俺に、HMの素晴らしさ、特に、HMの持つ劇的な曲展開・ツインリードの美しさを教えてくれた最初のバンドである。そして、その年の秋、俺は更なる感動と興奮を得ることになる。そう、「Keeper Of The Seven Keys part2」の登場によって。 (続く)