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◆デ ィ ス ク ・ レ ヴ ュ ー ◆ |
2003年5月 |
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HELLOWEEN 「Rabbit Don't Come Easy」 2003 待望の10作目。前作も悪くは無い(少なくともヴァイキーが酷評するほどではない)のだが、楽曲の完成度や方向性が定まらなかったのも事実。本作は、そういう点では往年のファンが納得するであろうアルバムである。新加入のサシャ・ゲルストナー(g)とヴァイキーが繰り出すツイン・リードはリリカルだし、何よりもサシャはソングライターとしても優秀。加えてマーカス(b)も作曲面で健闘している。“Tune”ではヴァイキー節が炸裂。そのヴァイキー作の“Nothing To Say”はアルバムの方向性から見たら浮いているし、賛否があるだろうが、彼のソングライターとしての才能が別の方向に発揮された曲で、これはこれで良い曲だ。プロデュースにチャーリー・バウアファイントを選んだのも正解。 |
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SENTENCED 「Down」 1996 現ヴォーカリストであるヴィレ・レイヒア加入後の最初の作品(4作目)。その後の「Frozen」、「Crimson」、「The Cold White Light」という傑作へ続くサウンド形態が本作で確立されている。つまり暗く、冷たく、かつ叙情的な美が支配する中に独特のアグレッシヴさや躍動感が封じ込められている素晴らしい作品である。感情を押し殺したようなヴィレのヴォーカルは荒涼とした世界を描き出すのにピッタリ。それにしても、彼等のアートワークは毎回素晴らしいね。 |
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POISONBLACK 「Escapexstacy」 2002 SENTENCEDのヴォーカリスト、ヴィレ・レイヒアラが新たに始動させたバンドのデヴュー作。ここではヴィレはギターに専念、エモーショナルでメロディアスなプレイを披露。ダークで陰鬱かつメランコリックなハード・ロックでSENTENCEDに通じる部分も多いが、こちらはもっとシンプル。ダークで感情を押さえたようなJ.P.レパルオトのヴォーカルがヴィレ・ヒアラ節を魅力的に唄う。鈍色に包まれた空間の奥にちらちらと情熱の炎が燃えている、そんなサウンドだ。聴き込む毎に魅了されていく味わい深い作品。 |
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MYSTIC PROPHECY 「Regressus」 2003 若きギター・ヒーロー、ガス・GがFIREWIND、DREAM EVILと併行して参加しているもう一つのバンドの2作目。ダークでへヴィなリフ満載のHeavy Metalで骨太のサウンドが心地良い。完成度の高い楽曲の中で、テクニカルでメロディアスなガス・Gのギター・ソロがさりげなく光る。ギリシャ人ヴォーカリスト、R.D.リアパキスの男らしさ溢れるヴォーカルがまた見事で、逞しく、そして力強く唄い上げている。 |
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KAMELOT 「Epica」 2003 フロリダ出身でありながら欧州的な正統派HEAVY METALサウンドを聴かせる彼等の通算6作目。ゲーテの『ファウスト』にインスパイアされた作品ということで歌詞の内容も深いが、肝心の音楽の方も素晴らしい。オーケストラや女性ヴォーカルを取り入れながら、劇的で悲哀に満ちた楽曲群がエクスタシーを誘う。力強く、情熱的で透明感も併せ持つロイ・カーンのヴォーカルは絶品だね。作品が高貴な光を放っている。 |
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STORMWARRIOR 「Stormwarrior」 2003 巷で噂のCDを遂に入手。本国ドイツでは昨年にリリースされていたみたいですね。サウンドはまさにHELLOWEENの『Walls Of Jericho』を彷彿させます。ヴォーカルもしゃがれたカイ・ハンセンって感じで好きです。唄い終わりの部分を超ハイ・トーンで叫ぶところもカイそっくり。B級臭さもありながら彼等の作り出すパワー・メタルは超一品。長いツイン・リードも実にスリリングです。初期HELLOWEENはもとより、MANOWARやRUNNING WILD等の影響も垣間見えますね。 カイ・ハンセン師匠がプロデュース、そしてヴォーカル/ギターでもゲスト参加してます。まさに闘う漢のためのMETAL! 新たなMETAL戦士にHAIL! 是非、来日させたい! |
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Tommy february6 「Tommy february6」 2002 初回限定DVD付のCDが買えませんでした。結局このアルバム自体買わずに今日に至ってしまいました。これが・・・実に・・すんばらしい! 捨て曲無し! キラキラしたサウンドとダンサンブルなリズム。歌メロは勿論キャッチーで時に切なげなメロディがグー! BOYS TOWN GANGのカヴァー、“Can't Take My Eyes Off Of You”(邦題“君の瞳に恋してる”)もハマっている。再度言いますが全曲素晴らしいです。大体、シングル以外の曲の完成度が低かったらアルバム出す意味ないよね! |
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MASTERPLAN 「Masterplan」(ドイツ盤) 2003 また買っちゃった(笑)。何しろ、日本盤と欧州盤では収録曲に若干の違いがある。日本盤ボーナス・トラックだった、“Through Thick And Thin”と“The Kid Rocks On”に代わって、欧州盤には、“Enlighten Me”と“Bleeding Eyes”が収録されている。前者はミドル・テンポながらもサビのもたらす昂揚感に感動を覚える素晴らしい曲である。後者もミドル・チューンで中近東っぽい雰囲気の曲。やや弱いがヨルン・ランデのソウルフルなヴォーカルで聴かせてしまう。マニアは輸入盤もチェック! |
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SAVATAGE 「Japan Live'94」 1995 '93年10月、SAVATAGEの中心人物でもあるクリス・オリヴァー(g)は悲劇的な事故で若くしてこの世を去った。その逆境を乗り越えてバンドは『Hndful Of Rain』をリリースし、来日公演を行なった。本作はクリス・オリヴァーに捧げた日本公演の記録である。演奏内容は素晴らしく、熱気と悲しみが交差する中ショウは進んでいく。思い入れがあるだけに、感傷的になってしまうのも事実。兄のジョン・オリヴァーが亡きクリスのギターを弾く“Alone You Breath”や同じくジョンがヴォーカルをとる“Gutter Ballet”は涙無しには聴けない。 |
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hiro 「Naked and True」 2002 シングル5曲を含む2ndアルバムで、全15曲。シングル曲はもちろん強力だ。他の曲もなかなか良い。ただ、完成度にバラツキがあるんだよなあ。それに、サビメロは良いのに途中で変なラップに曲の雰囲気をぶち壊される“CRAZY”、これまた原曲ぶち壊しの“見つめていたい”のDJミックス、と余計な物が嫌でも耳障り。そういう構成で15曲もあるとダレる・・・。って、何と16曲目にシークレット・トラックが!! これは・・・民謡!? コブシが回る〜。ブックレットにも何にも書いてないし、HPでも明らかにされてないこの曲を調べたところ、琉球民謡の“花”って曲らしいですな。これは良いカヴァーだ。 |
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hiro 「Eternal Place」 2002 シングル7作目となる本作は久々に伊秩弘将の作詞・作曲。ミディアム・テンポのバラードで、特にサビメロが秀越でグッとくるねえ。天に向かって力強く歌い上げる寛ちゃんの姿が浮かんできます。名曲ですな。カップリング曲“Can You Hear My Heart?”も伊秩らしいポップ・チューンでまあまあ。 |
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STRATOVARIUS 「Elements Pt.1」 2003 フィンランドのメロディック・パワー・メタルの雄が放つ、3年振りの新作(9th)。ストラト流ファスト・チューンの完成度は文句無しにカッコイイ。そして本作の聴き所は数曲の大作。LED ZEPPELIN風へヴィネスにオーケストラがマッチしている(2)の展開を見よ。さらには壮大かつプログレッシヴに展開していく(4)の構成力、少年のソプラノ・ヴォーカルに導かれて美しくドラマティックな(6)、オーケストラと混声合唱団とバンドが一体になって生命の深淵を描き出す(8)、とバンドの更なる成長を見た。どの曲にも一切の無駄や隙が無く、充電期間は正解だったと言える。 |