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2003年11月4日 日本武道館

 SPEEDが解散宣言をしてからのファイナル・ツアーが最後に行なわれたのは’99年の12月である。その後、’01年に一度(一夜)だけ復活ライヴを行なったが、今回のように全国各地ををツアーするのは解散以来初めてのことである。期間限定の再結成と言っても、今回はアルバムもリリースするし、ツアーもやるということで往年のファンにとっては嬉しい限りである。9月下旬から始まった今回の再結成ツアーも終盤を迎え、今日と明日の武道館公演と2回の横浜アリーナ公演を残すのみとなった。全9ヶ所、18公演。これだけの会場をソールドアウトできるということは凄いことである。それだけファンも待ち望んでいたということだろう。会場に着いたのはショウの始まる1時間位前だったが、既に山のような人だかりであった。軽食で腹を満たし、準備もバッチリ。筆者は2階席の後ろの方だったのだが、武道館は客席の傾斜がかなりあるためか、ステージを良く見渡せる位置だった。開演予定時刻を10分位過ぎた時、場内が暗くなり、ショウのオープニングを告げるBGMが流れ始めた。ステージ中央にあるスクリーンには美しい映像が映し出されている。
 いつの間にか4人のシルエットが。御馴染みのイントロが流れると、客席からは物凄い歓声が沸く。“Be My Love”である。冒頭のコーラスが印象的な新曲にてライヴは幕を開けたのだった。コーラスの美しさはきちんと再現されており、ゾクゾクさせられた。パフォーマンスも実に堂々たるもので、この一曲でつかみはバッチリ! SPEEDのライヴを体験することはもうないのだろうなと思って過ごしてきた約3年の思いが込み上げてきた。曲のあとにメンバーそれぞれの自己紹介と挨拶があり、「あー、やっぱり4人一緒がいいよなー」と実感。絵里子のMCのあと間髪入れずにあのコーラスが始まる。“Go! Go! Heaven”だ! この曲のダンスも激しいのだが、流石に上手いし、体の動きにキレがある。これだけのダンスをこなしながら歌うグループっていないよなあと考えてしまった。続いて、“STEADY”、“ALL MY TRUE LOVE”と立て続けに往年の名曲が続く。寛子と絵里子のヴォーカルも安定しており、多香子&仁絵のバック・ヴォーカルも上手い。それぞれのソロ活動で培った実力が融合している瞬間である。
 “ALL MY TRUE LOVE”が終わると、島袋寛子のソロ・コーナーが始まった。黒のコスチューム姿に衣装替えしたhiroちゃんてばとってもセクシー! 曲は勿論、“愛が泣いている”。(この間、筆者は寛子嬢の姿に釘付けだった・・・。) 
 フラメンコ風味なこの曲でちょっと流れを変えたところで、残りのメンバーも登場。ステージ上にはいつの間にか椅子が準備してあり、そこに座ってトーク・コーナーが始まった。へー、SPEEDは武道館でやるのは初めてだったんだ。ちょっと、意外。寛子が「今日は平日じゃない。なのにさあ、こんなに来てくれて嬉しいよねー」とメンバーに語りかける。その後、話題は仁絵の髪型のことや、絵里子の昨日の出来事や寛子の家族サービスの話とか、多香子のドラマのロケの話(役柄、関西弁も披露)などと続く。ファン・サービスもバッチリなSPEEDである。
 そのまま座ったままで、次の曲をメンバー自ら紹介し、アコースティック・アレンジの“I Remember”が始まった。ファンも座ってじっくりとこの曲に聴き入っている。続いて始まった曲は最初、ヴォーカルが入るまで分からなかたのだが、それも無理はない。何とアコースティック・アレンジの“Snow Kiss”だ。『Carry On my way』アルバムの中でも屈指のメロディーを誇るポップでキャッチーな名曲を大胆にもアコースティック・アレンジで披露。これは嬉しい驚きであり、このアレンジも大成功だと言える。まあ、原曲通りのアレンジでも聴いてみたいという思いも正直あるが・・・。SPEEDはシングル曲以外にも、特にアルバムに名曲が多い。そんなことも改めて実感した。再度トークを挟んで、やはりアコースティックな“my graduation”、とほのぼのした時間が流れる。
 続いて、中央のスクリーンに映し出される蝶のグラフィック。今井絵里子のソロ・コーナーが始まった。曲は“Butterfly”。力強く壮大なこの曲を唄う絵里子嬢のバック・ヴォーカルを残りの3人が担当。
 絵里子のソロが終わると、すぐさまあの名イントロが聴こえてくる。そう、“ALIVE”だ。SPEEDは激しいダンス・チューンも魅力だが、こういったじっくりと聴かせる名曲も多い。曲のエンディングをインストルゥメンタルで引っ張ってバンド・メンバー紹介。こういった構成も実に上手く機能している。SPEEDのライヴでは昔からバック・バンドに限らず、音響や照明、ステージ・スタッフなどSPEEDをサポートしているチーム全体がプロフェッショナルな仕事をしている。
 ダンス・アレンジの“Deep Blue & Truth”が始まった。『Carry On my way』アルバムに収録されているオリジナル・ヴァージョンは暗くて重い、そして耽美的な美しさを備えた曲だが、これを大胆にもダンス・ヴァージョンにアレンジ。こういうのは例えば、CDで聴いたら「つまらん!」の一言で片付けてしまうかもしれない。しかし、ライヴとなると話は別だ。4人の迫真のダンスを観ることが出来るのだから! それにこの曲はダンス・アレンジにしても実に映える曲だということが分かった。それにしても、4人共ダンスが本当に上手い。圧巻である。CDで聴くのもいいが、SPEEDの魅力の一つでもあるダンスはライヴでしか味わうことが出来ない。
 続いて、新垣仁絵のソロ・コーナー。バックでメンバーもダンス!! メンバーも参加するソロ・コーナーというせいもあってか、ライヴの流れが中断されない。このアイディアは良い。HITOEのダンスも素晴らしい。
 曲が終わると、モニターにはVTRが映し出される。メンバーがゴスペラーズに「SPEEDの曲を作って下さーい」とメールを出している。送信した直後に「曲が出来たよー」という返事が! コントのようですな。で、ゴスペラーズがSPEEDに提供した“Walking in the rain”を披露。しっとりとしたとても叙情的な曲で、コーラス部分の4人のハモリがこれまた素晴らしい。これには思わず唸った。そして“Long Way Home”。聴かせるね〜。
 「皆さん楽しんでくれてますかー」という寛子の掛け声のあと、ちょっとしたトークが始まる。「次の曲はTommy february6さんが作ってくれましたー!」 「映像も作ったので、見てください! “Stars to shine again”。」 曲が始まると共にモニターにはチアガール姿で振り付けするSPEEDが映し出される! 会場からは、特に女性ファンからの「カワイイ〜」という反応が起こる。楽曲自体もキラキラ・ポップな、いかにも“Tommy february6”な曲で特にサビの部分は一度聴いたら忘れられないほど印象的。この曲の作詞はTommy february6だが、作曲しているのはTommy february6の一連の楽曲を手掛けているMALIBU CONVERTIBLE。どうりで強力なはずだ!! チアガール姿があまりにもハマっているので、ファンにとってはモニターの映像とステージ上の生のSPEEDと、どちらにも目が離せない瞬間だ。
 続いて、「行くよ〜!」の掛け声で上原多香子のソロが始まった。“Kiss you 情熱”は激しいチューンで、他のメンバーもダンスで参加。一層の盛り上がりを見せた。
 いよいよライヴも終盤に突入!! 『RISE』アルバム収録の名曲、“Too Young”だ! 曲間ではダンサーの紹介コーナーも盛り込んで、ダンサーとSPEEDで一人ずつダンス対決を行なうという演出が見られた。これも実に楽しい。そのまま一気に“Body & Soul”へ突入。
 この曲の反応も凄いものがあった。そして、SPEEDの知名度を一気に世間に知らしめた超名曲“White Love”、アグレッシヴなダンスが光る“Brakin' out to the morning”と名曲を一気に畳み掛けてステージを去った。その直後からアンコールを求める声が会場を埋め尽くしていたのは言うまでもない。モニターには、“アンコール催促VTR”が映し出された。メンバーがそれぞれアンコールを催促するしぐさをやって、「アンコール」という言葉が「アルコール」→「マンホール」・・・と変わっていくという内容でこれもおおいにうけていた。
 アンコール一発目は“Wake Me Up!”で始まった。SPEEDのカッコイイダンスを見ていると自然に身体が反応してしまう。続いて、これまたファンに人気の高い名曲“熱帯夜”が披露されると、会場からはどよめきが沸き起こる。驚きと喜びの反応である。そしてラストは、“I'll Be All Right”で明るく、楽しく、約2時間半に渡るライヴを締め括ったのであった。
 SPEEDとしての空白期間を感じさせないどころかむしろ、メンバーの個々の実力が一つに融合した素晴らしい、そして楽しいライヴだった。    
     
01.Be My Love
02.Go! Go! Heaven
03.STEADY
04.ALL MY TRUE LOVE
05.愛が泣いている/hiro
06.I Remember
07.Snow Kiss
08.my graduation
09.Butterfly/今井絵里子
10.ALIVE
11.Deep Blue & Truth
12.I Got You/HITOE
13.Walking in the rain
14.Long Way Home
15.Stars to shine again
16.Kiss you 情熱/上原多香子
17.Too Young
18.Body & Soul
19.White Love
20.Brakin' out to the morning
―encore―
21.Wake Me Up!
22.熱帯夜
23.I'll Be All Right