奈良市の「30人学級制」導入についての見解 2007.2.26
2007,2,26
30人以下学級をめざす奈良県連絡会
1 奈良市は、平成19年度予算案に新規事業として「小学校30人学級実施」のために1億2360万円の予算を計上していることが明らかになった。奈良市は、当面平成19年度には小学1年生で実施し、小学校1,2年生での実施をめざしているもようだ。今後、市議会での審議、県の施策との調整、学校現場の整備などが行われていく中で、具体的なかたちが明らかになってくるものと思うが、まずはその決断に歓迎の意を表明したいと思う。
2 様々な教育課題の解決の要として、どの子にも行き届いた教育を保障するための30人以下学級を実現してほしいという声は、もはや国民世論といってもよい。奈良県内にも、教育関係者のみならず大多数の県民がその実現を切望してきた。私たち30人以下学級をめざす奈良県連絡会は、その願いにより生まれ、その実現をめざして運動を進めながら、国や県、市町村にその実現を提言してきた。奈良市に対しても過去三度の奈良市長選で「子育て仲間の声を県政市政に届ける会」を通じ市長候補に公開質問状を届け30人学級の実現を提言した。さらに現職の藤原奈良市長には、2005年11月に直接懇談をして市独自での30人学級実現を提言した。
3 少人数学級の実現は、40人学級定員を定める「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(以下「義務標準法」)を改正し、国の財政的な措置のもとで全国的に実施すべきものである。世界の多くの国々も国の教育政策として少人数学級制をとっている。しかし、日本では、政府が国民世論に背をむけ、その実現への努力をさぼり続ける中で、多くの都道府県など地方自治体が部分的に「学級編制の弾力化」をはかり、地方財政が困窮する中でも多大な財政措置を必要とする少人数学級を実現させている。しかも、市町村レベルで教職員を採用し少人数学級制を採用するのはまだまだ少数であることを考えると、今回の奈良市の「小学校30人学級実施」は、切実な市民の願いに応える英断であると考える。
4 しかし、奈良市の財政的な状況や身分上も不安定な市費講師での実施ということなどを考えると、今回の「30人学級制」は大きな一歩前進とはいえども、ベストな内容での実施ではないし、限界があるといわざるを得ない。もし、奈良県の他市町村が奈良市に続き実施をしたとしても、同様だろう。
私たちは、やはり国が責任をもって実施することを求めたい。少子化が進む中では、教職員数を増やすことなく実施することが十分可能になっている。また、奈良県が県都奈良市の英断に応えて、全県に少人数学級を実施することを求めたい。たとえば、少人数指導のための加配教員の配置を、学級人数による基準配置に変更するだけで、新たな財政措置を必要とせずに全県に35人学級が実現可能であることは県教委も認めている。それらを活かしながら、学校現場の意見を聴き、実効のあるかたちで少人数学級のあり方を追求することを求めたい。
5 私たち30人以下学級をめざす奈良県連絡会は、校内暴力発生率ワースト2(平成17年度)不登校発生率ワースト7(平成17年度)という数字に象徴される奈良県の教育困難状況を打開し、どの子にも行き届いた教育を実現するために、奈良県のすべての学校学級で30人以下学級を実現するための研究活動、政策提言活動を県民とともに続けていきたい。県民のみなさんの賛同と参画を呼びかけたい。
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◆関連新聞記事 1
「三十人学級制」導入へ新年度から奈良市 小学校一年対象か
奈良新聞 2007.2.17
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いじめや不登校、学校荒廃など「教育力の低下」がいわれる中、幼児教育の重要性やきめ細かな教育指導の在り方を検討してきた奈良市は、新年度から小学校の新一年生を対象に「三十人学級制」の導入を検討しているもよう。同市でも年々少子化が進行、本年度入学児童は三千六十六人(五月一日現在)で、一クラス平均の児童数は二十七―二十八人と、国が定める小中学校の定数四十人を既に割り込んでいる。三十人学級制の導入は県内では初。
奈良市の市立小の入学児童数は、十七年度三千百八十四人、十六年度三千二百十人(いずれも五月一日現在)で年々下降。十九年度は約三千人と本年度をさらに割り込む状況だ。市教委では、現在市内の学校の適正規模について「市学校規模適正化検討委員会」が検討作業を進めており、年度内にも答申をまとめる予定。
現在国の指針は「四十人学級」を定めているが、少子高齢化の流れに加え、生活環境の変化、価値観の多様化など子どもを取り巻く状況は激変、教育環境も複雑となり、いじめや不登校などの問題行動、非行の低年齢化など教育のあり方が問われる状況となっている。
少子化の一方、教育現場では教員過員も大きな課題で、国は平成十三年度「第七次公立義務教育小学校教職員配置改善計画」を示し、従来よりクラスの数を増やす少人数学級を始めたのに続き、十七年度からは「定数三十五人」の少人数学級を導入。本年度、奈良市内では小学校二十校、中学校四校で少人数学級を実施した。
市教委ではこうした実績をもとに、保護者や市議会からも要望の声が出ていた三十人学級の研究に着手。特に幼児教育の重要性に力点を置き、実施方法について詰めの検討を行っているもようだ。
同市の市立小は四十八校。うち、東部を中心に一校六クラス以下のいわゆる小規模校が六校あるほか、西部の一部に空き教室も全くない過密校があるなど教育環境に違いもあることから、今後調整作業が本格化すると予想される。
同問題は十六日の市議会産業文教委員会(東久保耕也委員長)で原田栄子(共産)が取り上げ、市教委は「市では希望のあった小中学校にクラス担任以外に加配教員を県の承認を得て実施、少人数学級を行っている。結果、学力の向上、不登校やいじめなど問題行動の減少や教員と児童、生徒間の関係の改善などが見られる」と実績を強調。
「制度充実を県教委に要望するとともに、他の自治体の実施状況を参考に、市独自の三十人学級の在り方も検討する」としている。
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◆関連新聞記事 2
小学1年生に30人学級 奈良市新年度から独自で教員採用も
朝日新聞奈良版 2007.2.22
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奈良市は新1年生を対象に、07年度から国のクラス定数基準より10人少ない「30人学級」を全48の市立小学校で実施する方針を固めた。いずれのクラスも30人以下に抑える予定だ。学校に通い始めた児童のより丁寧なケアに取り組む狙い。市独自予算で常勤講師約20人も採用する方針で、その給与などとして07年度当初予算案に約1億円を盛り込む。
市立小学校には、昨年5月時点で3066人の小1児童が在籍。今年4月には3100〜3200人が入学するとみられる。現在、地域によって30〜40人のクラスと、30人以下のクラスが混在しており、これをすべて「30人以下」とする。
このため、クラス数の増加を見込んで、小1担当の常勤講師を新規採用する。3月20日までに各校の入学児童数をまとめて、市費で採用する。
市では、35人以上の児童が学ぶ一部のクラスを対象に、35人以下に抑える少人数学級の導入にすでに取り組んでおり、06年度で20小学校29学級で実施していた。ただし、この時には独自に教員を採用しておらず、県教委から対象校に手厚い教員配置を受けていた。
少人数学級に教育的効果が見られたため、今回、新1年生の全クラスに30人学級を導入することにした。
市町村立学校職員給与負担法の改正で06年度から、各市町村の予算で学級編成ができるようになった。京都市も07年度から中学3年の全クラスで30人学級の導入を始める。