<<Baby*Room index  

母子手帳で見る育児 今昔

祖母の母子手帳  昭和19年11月9日交付  大阪府
母の母子手帳  昭和38年3月5日交付  福井県 
私の母子手帳(さくら)  平成12年1月24日交付  東京都江東区 
私の母子手帳(茜)  平成14年2月5日交付  東京都江東区 

*画像は全て拡大したものにリンクしてあります。

 

■■ 祖母の母子手帳 ■■
昭和19年11月9日交付(大阪府)

*出来る限り元のまま複写していますが、辞書に無い文字は一部当用漢字に置き換えています。


表 紙


1 頁



右頁に氏名・住所・世帯主氏名・出産予定日を書く欄があります。
左頁は「妊産婦ノ心得」が次頁まで続きます。内容は下記参照。



2 頁



右頁に「妊産婦ノ心得」続き。
左頁に「妊産婦新産兒健康状態欄」。



7 頁

左頁に「分娩記事欄」。

項 目 分娩日時 分娩異常
在胎月数 流早産原因
男女別 出血
髀重(単位:匁) 産科手術
分娩直後ノ兒ノ生死 分娩介助者氏名



8 頁

必 要 記 事
年 月 日 記 事 欄 責任者
(昭和)19年11月9日 ○衣料切符交付濟  
(昭和)20年3月9日 出産用局方ガーゼ○購入券○○  
(昭和)20年3月10日 栄養食品発給濟  
(昭和)20年6月6日 鶏卵配給済  
  *一部インクが薄くて判別できなかった箇所を「○」に置き換えました。



裏 表 紙
一、妊娠中カラ乳兒ノ最初ノ檢査ノトキマデノ間ニ保健所、医師、助産婦、保健婦等ニ就イテ診察、檢査、保健指導等ヲ受ケタトキハ其ノ都度此ノ手帳ニ書キイレテモラツテ下サイ。

二、此ノ手帳ハ妊産育兒ニ必要ナ物資ノ配給ヲ受ケル為ニ必要ナコトガアリマスカラ大切ニ保存シテ下サイ。

三、萬一己ムヲ得ナイ事情デ破レタリ、失ツタリ、又ハ餘白ガナクナツタトキハ市區役所、町村役場ニ申シ出テ下サイ。

四、此ノ手帳ハ今後ノ妊娠出産ノ時ノ參考ニナリマスカラ、流死産ノ場合デモ大切ニ保存シテオイテ医師、助産婦ニ見セル様ニシテ下サイ。

五、妊娠デナイコトガワカツタトキハ、此ノ手帳ハオ返シ下サイ。

六、此ノ手帳ハ他人ニ貸シタリユヅツタリシテハイケマセン。



衣料切符交付申請書 傷病者妊産婦 物資特別購入券


▲TOP



 
■■ 母の母子手帳 ■■
昭和38年3月5日交付(福井県)

表 紙


7・8頁

妊婦健診項目
実施年月日 妊娠月数 子宮底 胎位 児心音 浮 腫 蛋白尿 血 圧


妊娠後期の状態として未記入だが上記項目に加え「腹部」「乳房」「歯牙・口腔の状況(歯槽膿漏、未処置歯など)」を記載するようになっている。

現代の妊婦健診項目
実施年月日 妊娠週数 子宮底長 腹 囲 血 圧 浮 腫 尿蛋白 尿 糖 その他
検査
体 重
*現在では胎位、児心音などを書く欄がなく、妊娠月数ではなく週数。



10頁(内容複写)

お知らせ

近年日本人の体位は著しく向上して近き将来には欧米人に劣らない様になることが予想されています。厚生省では母子保健対策の立場から昭和23年、児童福祉法に基づき妊産婦、乳幼児の保健指導を行い母子手帳の交付等を実施してきましたが更に徹底を図る為、昭和23年度から受胎調節指導を、昭和33年度から未熟児訪問指導を昭和36年度から新生児訪問指導及び3才児集団検診指導を実施して参りました。そうして日本の出産率や乳児死亡率の著しい低下は欧米諸国なみとなつて参りましたが新生児死亡率や妊産婦死亡率はなかなか低下しないのみならず欧米諸国より著しくおくれをとつています。
幼少人工の資質改善と体位向上のためには妊産婦の保険殊に妊産婦死亡率の主因である妊娠中毒症対策が重視されて参りました。
 昭和36年度から実施されている新生児訪問指導事業は生まれてから28日以内に赤ちゃんに、県から委託された新生児訪問指導員(助産婦)が、お宅を訪問して赤ちゃんの育て方についてご相談におうじることになつています。
 昭和37年度からはさらに妊娠中毒症対策が実施されてることになりました。新生児訪問指導員と同じく県より委託された助産婦が妊娠中毒症と診断された方、およびその疑いのある妊婦産についてご相談いたします。
 上記の新生児訪問指導員、妊娠中毒症の訪問指導員は各地区に配置されており、その指導料は無料となつていますのでご希望の時には近所の助産婦または最寄りの保健所へご相談下さい。
やたらと欧米諸国と比較している表現が目に付く。
また新生児・妊産婦死亡率が低下したのは近年のことだと改めて気付かされる内容。



11頁(内容複写)
赤ちゃんがお生まれになつておめでとうございます。
新生児についての注意


生まれてから約1ヶ月の新生児期は、赤ちゃんが母親のお腹から出て、新しい生活になれていく時期です。この時期は一生のうちで一番弱い時ですから、十分に注意いたしましよう。

1、安 静 新生児は、乳を飲む時の他は殆ど眠つています。清潔で静かな部屋で、ゆつくり寝かせておきましょう。
2、保 温 新生児は体温をうまく調節できませんから、暑くも寒くもないように保温に注意いたしましよう。寒い時には特に気をつけましよう。
3、栄 養 母乳で育てるのが一番良いことです。授乳の時は、あせらずゆつたりした気持ちで飲ませます。母乳が足りない時は、医師・保健婦・助産婦・栄養士に十分指導してもらつて下さい。
4、病気の予防 新生児は病気になりやすく、病気になるとすぐ重くなります。新生児のそばには用のない人や、かぜをひいている人は近寄らせないで下さい。赤ちやんのからだ、とくにおへそは、きれいにしておきましよう。その他おむつや衣類は、清潔にしましよう。
5、早 産 早産の赤ちやん、生まれた時に体重の少なかつた赤ちやん、母乳が足らない赤ちやん、生まれつき手足やからだに異常のある赤ちやん、家庭に結核患者のある赤ちやんなどは、とくに注意しなければなりませんから、なるべく早く保健所または医師に相談して下さい。
ミルクが急激に普及し始める少し前くらいの時代。母乳育児を推奨している。


13頁・14頁(内容複写)

育児の心得

愛情と正しい知識とをもってこどもを育てることが大切です。母親も父親も祖父母も、家族の人達がみんな気を揃えて育てましよう。正しい育児の知識を得るためには、保健所に相談したり、医師や保健婦に聞いたり、本を読んだりしましよう。

1、順調な発育は健康のしるしです。こころとからだの発達に注意しましよう。
  イ 体重は生後4箇月で生まれた時の2倍、1箇年で3倍になります。
  ロ 首は3,4箇月で頃までにすわり、お坐りは6,7箇月頃、ことばは1箇年前後、
    あんよは1年2,3箇月頃から始まるのが普通です。

2、健康相談 からだとこころの発達が順調かどうか、からだが丈夫か弱いか、栄養やしつけ
  や育て方などの問題について保健所または医師・歯科医師・保健婦・栄養士等に
  定期的に相談し、指導を受け、この手帳に記入してもらいましよう。

3、栄 養 子供が立派に発育するには、正しい栄養が必要です。
  イ 母乳第一 離乳までは、できるだけ母乳で育てることが大切です。母乳を沢山だす
    ためには、母親は十分に栄養をとり、適度に休養をすることが必要です。
  ロ 人工栄養 母乳がでないときや、たりないときは、牛乳や乳製品で育てます。
    このときは、乳児の月数によつてうすめ方の加減をしたり、ビタミンや、その他のたりない
    栄養分を加えなければなりませんし、消毒などの注意もいりますから、
    必ず保健所または医師・保健婦・栄養士等の指導を受けて下さい。
  ハ 離 乳 乳児を乳ばかりであまり長く育てていると栄養がたりなくなつてしまいます。
    生後4,5箇月になつたら、果物や野菜の汁、重湯などから始めておまじり・
    つぶしがゆ、半熟卵、柔らかい煮魚などにうつり、だんだんにその種類と量とを増し、
    大体お誕生頃までには離乳を終えるようにいたしましよう。

4、養 護
  イ 清 潔 こどもはできるだけ毎日入浴させて、からだを清潔にすることが必要です。
    肌着やおむつは度々取りかえて、清潔な乾燥したものを着せましよう。
  ロ 新鮮な空気 生後1箇月くらいになれば、戸外の空気にふれさせても大丈夫です。
     けれども人ごみは、避けましよう。また着物はゆるやかに着せ、時々部屋を
     あけはなして、新鮮な空気に親しませて下さい。
  ハ 日光浴 からだの発育に日光は、ぜひ必要です。生後1箇月にもなつたら、
     日なたぼつこから始めて、日光浴をさせましよう。くる病は、おもに日光の不足から
     おこります。

5、しつけ 正しいしつけは、子供の将来のためにも、まわりのもののためにも大切です。
  しつけは、ごく身近なことから始めます。
  イ そいねのくせは、母子ともにあんみんできませんからやめましよう。一人でねるくせを
    つけると、目がさめても、一人でよく遊んでいるようになります。
  ロ 大体きまつた時間に十分にお乳を飲ませましよう。その間に泣いたら、お湯か番茶を
    与えることはよいことです。離乳をはじめたら、好き嫌いなく何でも食べるようにしつけ
    ましよう。
  ハ こどもが泣いたら、よく原因を確かめましよう。泣いたからといつて、すぐお乳を与えたり、
    抱いたり、おぶつたりするのはよくないことです。
  ニ こどものひとり遊びは大切です。1才半を過ぎたらお友だちと遊ばせましよう。絵本や
    玩具を与えるにもよく考えることが大切です。おとなばかりのお相手や大人がこどもを
    おもちやにすることはいけません。
  ホ 食べることも、着ることも、そのほかのこともひとりでできるようにしむけましよう。例えば、
    こどもがころんでも自分で起きるように。
  ヘ 親を困らせるようなこと、例えば、泣き虫、わがまま、引きこみ思案などは、家族の
    扱い方が悪かったためによく起こります。こどもを叱ることは、難しいことです。叱るよりも
    導くようにしたいものです。

6、病気の予防は
  イ お腹の病気 こどもはお腹をこわしやすく、また疫痢や赤痢にかかりやすいものです。
    離乳期や夏はとくに注意しましよう。食物は新しいものを選び、はえがたかつたり、
    くさつたりしないように調理や保存に気をつけましょいう。
    手はよく洗い、乳首・乳びん・食器の消毒を十分にいたしましよう。
  ロ 呼吸器の病気 ちょつとしたかぜがもとで気管支炎になつたり、肺炎になつたりする
    ことが少なくありません。ふだんから栄養に注意し、皮膚をきたえて抵抗力を強くして
    おきましよう。一たん病気になつたら温かく、安静にして早く医師の手当を受けるように
    して下さい。
  ハ 小児の伝染病 はしか・百日咳・ジフテリヤ・疫痢・赤痢・結核などは、こどもに
    とつて恐ろしい病気ですから、お互いに注意して予防しましよう。

7、予防接種 痘そう・ジフテリヤ・腸チフス・バラチフス・百日咳・急性灰白随炎(小児
  麻痺)・結核を防ぐために、法律によつて予防接種を受けるようになつています。
  予防接種は必ず受けて、母子手帳に記入してもらいましよう。

8、歯の衛生 歯が生えそろつたら、歯を磨く習慣をつけましよう。歯に弗素を塗つて
  むし歯を予防することができますので2才と3才の時には歯科医にこの薬を塗つてもらい
  ましよう。乳歯のむし歯は、痛くなつてからでは手おくれです。早く見つけて小さなうちに
  治してもらいましよう。

9、こどもを育てるのにお困りの方は、福祉事務所・児童相談所或いは社会福祉主事・
  児童福祉司または児童委員に相談して下さい。必要な場合は乳児院・里親・保育所
  ・虚弱児施設・肢体不自由児施設等に入るお世話をしたり、その他の適当な方法を
  教えてくれます。
  
3、栄養 ロ 人工栄養に不足のビタミンを補うように指導がある。現在の果汁推奨の第一歩か?
5、しつけに関しては首をひねることが多いが最後の「叱るより導く」はとても良い表現だと思う。


17〜24頁
健診の記録記入ページ

満3箇月前後・満6箇月前後・お誕生前後・満2才の時・満3才の時・満4才の時・満5才の時・小学校入学前

妊婦健診項目
体 重 身 長 胸 囲 栄 養 歯牙・口腔の状況
せき柱 ツベルクリン反応 レントゲン反応 疾病・異常 主なる既往症


31・32頁
発育の平均値

区  分 身長(センチメートル) 体重(キログラム)
男 子 女 子 男 子 女 子



1月〜2月 55.4 54.2 4.7 4.5
2月〜3月 58.5 57.2 5.7 5.2
3月〜4月 60.9 59.9 6.3 5.8
4月〜5月 63.2 61.9 6.8 6.4
5月〜6月 65.5 64.0 7.4 6.9
6月〜7月 67.0 65.4 7.8 7.2
7月〜8月 68.5 66.8 8.1 7.5
8月〜9月 69.7 68.2 8.3 7.7
9月〜10月 70.8 69.4 8.5 8.0
10月〜11月 72.0 70.4 8.6 8.2
11月〜12月 73.1 71.6 8.8 8.4



1年0〜1月 74.1 72.7 9.1 8.5
1年1〜2月 75.1 73.5 9.3 8.7
1年2〜3月 75.8 74.5 9.4 8.9
1年3〜4月 76.7 75.2 9.6 9.1
1年4〜5月 77.5 76.2 9.8 9.2
1年5〜6月 78.4 77.1 10.0 9.5
1年6〜7月 79.4 77.8 10.2 9.6
1年7〜8月 80.1 78.5 10.3 9.8
1年8〜9月 80.7 79.2 10.5 10.0
1年9〜10月 81.4 79.9 10.6 10.1
1年10〜11月 82.2 80.6 10.8 10.2
1年11〜12月 83.0 81.4 11.0 10.4
2年0〜3月 84.1 82.7 11.3 10.8
2年3〜6月 85.8 84.6 11.8 11.3
2年6〜9月 87.6 86.3 12.3 11.8
2年9〜12月 89.3 88.1 12.7 12.2
3年0〜6月 91.9 90.7 13.3 12.9
3年6〜12月 95.0 94.1 14.2 13.8
4年0〜6月 98.2 97.3 15.0 14.6
4年6〜12月 101.4 100.4 15.8 15.4
5年0〜6月 104.4 103.3 16.6 16.2
5年6〜12月 107.4 106.3 17.4 17.0
現在の母子手帳にはこのような数字での平均値は記載されていないようだが、成長曲線という目安から比べると、やはり現代より赤ちゃんが小ぶりである様子が分かる。

▲TOP



 
■■ 私の母子手帳 ■■
平成12年1月24日交付(東京都江東区)
平成14年2月5日交付(東京都江東区)


表 紙
内容は皆さんのと同じだと思うので割愛させて頂きます。
全く新しいという点では「SIDS(乳幼児突然死症候群)」の記載があることを付け加えておきます。

▲TOP